かき氷機 初雪の刃の研ぎ

かき氷機の刃の研ぎ依頼がちょこちょこ来るのですが、今回のお客様は少し訳ありのようで、静岡の研ぎ屋さん、大阪の研ぎ屋さん等色々な研ぎ屋さんに依頼したが相性が良くなかったらしく満足のいく切れ味にならなかったそうです。

郵送して頂いた刃を見てみると、かき氷機 初雪の刃でした。

日本の業務用かき氷機は初雪とスワンというブランドが大半を占めているようで、谷中で有名なかき氷屋さんのひみつ堂さんも初雪のかき氷機を使っているらしいです。

 

刃を3枚送っていただき、1枚は新品が切れ止んだ刃で、他2枚は研ぎ屋さんに出して一度だけ使ったがボテボテした仕上がりになったので保管していた刃。

 

新品が切れ止んだ刃とどこかの研ぎ屋さんが研いだ刃を比べて見ます。

 

新品が切れ止んだ刃

グラインダーで荒く鈍角な幅の広い2段刃が付いていて、刃道の直線も少し歪んでいる、裏の平面は歪んでいるが直刃が付いている

どこかの研ぎ屋さんが研いだ刃

砥石で研いであり2段刃の部分は少し鋭角で幅も狭くなり鏡面仕上げになっています、刃道の直線の歪みはとれている、裏の平面は変わらず歪んでいて、ほぼ直刃だが糸引きにもなってないレベルでカエリを取るためか、ほんの僅かに角度が付いています。

 

どうみても研いだ後の刃の方が遥かに品質が高いのに、使い心地は新品の方が良かったとの事なので、裏刃が直刃かどうかという事がフワフワのかき氷をかけるかどうかに関わっている可能性が大きいです。

あくまで機械の使い方、氷の柔らかさ、求めている雪質等、色々な条件があるので研ぎ方の正解は使用者の数ほどあるとは思います。

 

初雪のウェブ取扱説明書を読んで特に変わった所もなかったので、研ぎます。

結構歪んでいますが、刃自体の硬度は高くないのでサクサク削れます。

 

裏刃は刃先だけでかえりをとる研ぎ方だと前回と同じ切れ味になってしまうので、直刃をつけます。

今回のような用途の刃でしたら、全面に砥石を当てて平面だして直刃にする必要は無いのですが、0.1度でも角度を付けたくなかったので全面砥石に当てます。

こんな感じです。初雪の文字が薄くなってしまいましたが、やむを得ません。

 

ここまで来ましたら

刃道の直線が新品より良く

新品より浅い角度で刃に当たるか確認

 

裏刃は平面が出ている板において削れるかどうかで確認。

 

後は耐久性を変えて、糸引きを付けた物と、小刃付けした物を研いで完成。

 

これで耐久性ではなくて切れ味に問題があったとしたら、ちょっと悩みますね。

良い返事が来ることを期待します。

 

研ぎ陣 谷中銀座

研ぎ師 福本

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TOGIJIN

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